百五十六

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百五十六

 新しくスパイスで作ってみた、ポーションを味見したが、甘みと辛味のない薄いカレー水? の味がした。  う〜ん。 「……前のよりも、飲めなくはないが。まだ味が微妙だし、何か足らない気がする」  ――ここに塩コショウとか、果物を入れてみる? それも、カレーのシュワシュワにしてしまう! いやいや、血迷うな私。  テントの中で出来たポーションを見つめながら、付け加える味を考えていた。ガサッとテントの入り口が空き、モコ鳥のサタ様が覗いた。   「エルバ、テントの外まで何やらいい匂いがするが。何を作っているんだ」 「え、ポーションだけど、飲む?」  一瞬、眉をひそめたが。鍋の中の液体を見せると、クンクンと鼻を鳴らした。   「これがポーションだと⁉︎ ワタシの知っているポーションは青臭い匂いだ、こんな美味しそうな匂いはしない!」  サタ様には驚きの匂いだったのか、瞳が大きくなった。 「味はまあまあだけど、少し飲んでみる?」 「飲む!」  即答だった。    コップに少しだけ入れて渡すと、器用に羽でコップを持ちポーションを飲んだとたん、サタ様の体がピカッと光る。  ――まぶしい⁉︎ 「こっちの方が断然と美味いし、ワタシの古傷が消えて、魔力が全回復した……効き目が凄いな」 「そんなにすごいの?」 「ああ、元々ポーションは人用に作られているものだから、我々魔族は一本では全く回復しない。だからマズイポーションを飲む羽目になる」 「あれを何本も!」 「エルバも気付いたのか」  私はコクコクうなずく。はじめに作ったポーションの味を思い出して、私は口元を抑えた。あれは苦くて美味しくない、それを何本も飲むのは苦痛だ。 「1本飲むのも、何本も無理だよ〜」   「そうだな。でも、このポーションなら一本いや、少しの量で済むな」  そうかも。このポーションは神様からの謝罪で貰った、エルバの畑から収穫したククミン、タタメリック、コリアンダダで作ったポーションだから効き目は抜群だ。 「効き目が良すぎるし、前よりも飲みやすい。他のモノが知ればポーションを欲しがる」 「この、ポーションを欲しがる?」 「ああ、そして効き目を知れば。作ったエルバを探し始めるだろう。なにせ、このポーションは多額の金を生む」 「このポーションが、多額のお金を生む?」  サタ様の言葉にゾッとした。――私は異世界のいろんな植物、薬草を発見したいだけ、それ以上はなにも求めていない。知られるのだってパパとママ、サタ様、アール君――魔法都市のみんなと、領地のみんな以外には教えたくない。
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