十三

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十三

 ――この世界では十六歳が成人とされる。  私も十六歳になり大人の仲間入りをした。  大人になったということで、パパとママに魔法を使う許可をもらい、ママから魔法を習い始めた。 (はじめはアール君に教えてもらおうと思ったんだけど……)  魔法のことを聞いたら、こう"バッ"と体に魔力を止めてから"ガッ"とだすんです。と、いちおう魔法初心者の私には分かりにくい説明をしてくれた。 「アール君、それじゃわからないよ」 「そうですか? エルバ様みていてください、こう"ガッ"とだすんです」  火魔法つかったアール君。ポーズは可愛いし、その説明で私もわかるけど……それだと、他の魔法がはじめでなので使えない。と、なりママに教えてもらうことになった。   「エルバ、深呼吸して」 「はい」  いま家の庭先で私の周りに暴発防止の結界を張り、魔力を感じる訓練中だ。 「つぎに目をつむって、心を落ち着かせて自分の魔力を感じるの」   「……自分の、魔力を感じる」 (これは――生まれたときから魔法の光を操っていたから簡単だ)  光の球を操っていた時と同じように、心を落ち着かせた。――すると、自分の魔力を徐々に感じ始める。  ママはそれに気が付き。 「その調子、エルバの中にあなたの魔力が集まってきているわ……【魔法水】と唱えてみて」 「【魔法水】」  ほんらいは目の前にある、水瓶に魔法水を貯めるはずが。 「あ、え、止まらない!」    光の球のときとは違い加減がわからず、結界の中に魔法水を放水して、ママと自分をびしょ濡れにした。  それでもママは怒らず、楽しげに笑って。 「フフッ、エルバにはまだ自分の魔力コントロールが難しいみたいね。でも、はじめはそれでいいのよ」  と、結界を解き風魔法で濡れた私を乾かしてくれた。それをいまの私がやると、家中の物を壊す台風が起こるだろうとのこと。  次の日、魔法訓練にお母さんは竹ぼうきを持って、庭にあらわれた。 「繊細な魔力コントロールが必要な、ほうきに乗る練習をこれから毎日一時間しなさい」 「毎日、ほうきに乗る練習? ……はい、わかりました」  子供の頃に一度だけみたアニメ。そこで、女の子が乗っていた竹ぼうき。ここでは移動にみんなは使っている。  座って乗る人もいれば、立ったまま、ぶら下がって乗っている人もいる。  私もアニメの女の子のように竹箒に乗れるようになりたい。いつか、飛べるようになって黒猫のアール君を肩に乗せて飛んだら……フフッ、あの子と同じね。  
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