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百六十
ひと月前、カレーを知ったみんなはククミン、タタメリック、コリアンダダのスパイスを育てて、新しいカレー料理を作りはじめた。
(……すざましい勢いだ)
トウガラシシを使用した辛口カレー、果物を使って甘口カレーのほか。チーズカレー、焼きカレー、カレーパン、カレーうどん……カレーコロッケ、カレーピザ、カレードリア、カレー鍋と早い、早すぎる。
拠点のテントから、何処となくカレーの香りがする領地を眺め、サタ様、アール君と新作のサクサク茹、卵入りのカレーパンを食べている。
「このカレーパンも美味しい。……前に私が作ったスパイスカレーよりも美味しいくなったし、みんなが嫌いだと言っていたポーションも味が良くなった……」
「エルバ、よいではないか。美味いものがたらふく食べられる」
「カレーは最高です!」
「そりゃ、カレーは美味しいよ。毎日食べても飽きないし」
サクサクのカレーパンを一口かじり「次は何が食べたいかなぁ〜」と考える。領地に移ってきた、キバナの精霊キキさんの毒も解毒できた。彼女は解毒が終わっても、元の場所へ帰らず、この領地に住むと言った。
キキの友達、勇者の末裔グルナ君は学園を卒業したら領地に来ると言っていたし、新魔王ローザン君は魔王城とここを往復して、一緒に冒険をするみたい。
私も旅に出て新しい植物の発見もいいけど、薬になる薬草も発見して、調合もあげたいかな。
「ふうっ、来年になったら、のんびり採取の旅にでも出ようかな?」
ボソッと漏れた言葉に、何処となくツヤツヤな、モコ鳥のサタ様が反応する。
「いいな、ワタシの力も有り余っているし。味が良くなったポーション、スパイスカレーで回復も出来る」
「エルバ様! ボクも、力が有り余っております」
「それなら、私の魔法もみんなの魔力で強くなれる?」
サタ様とアール君がコクコク頷く。
「ああ、なるだろうな。ここではなく、よその国へ行き魔物討伐も出来るぞ!」
「はい、出来ますね。エルバ様がこの国を出て別の国へ向かうのでしたら――まず魔法の使い方、よその国の勉強した方がいいと思います」
「そっか。よし来年までに魔法とか、色んな国の勉強する!」
「おう、ワタシも手伝うぞ!」
「はい、一緒に頑張りましょう!」
――来年、まだまだ見ぬ薬草、植物の発見の旅に出よう!
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