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 いまのパパとママの子になれてよかった。  手を伸ばせば抱きしめてくれる。  優しい言葉と笑顔……大人だった頃を忘れてしまうね。  やさしい両親のもとで元気に育ち、五歳になった。  すこし前にベビーベッドは卒業して、ママとパパのルールのマナーは守れるようになったけど。  あいかわらずら書庫には鍵がかかっていて、中に入れないから。  もっぱら、お昼寝の時間に光の球で練習している。 「天井まで飛ばして、次に壁に…………ふうっ」  たのしいけど、少し飽きたかも。  いまの時間。パパは仕事でママはリビングで編み物かな?  よし、ママのところにいってみよう。    毎日欠かさず光の球をだして魔力に触れていたからか。リビングのソファーで編み物をする、ママの魔力がみえる。 (すごい繊細な魔力の調整しなから編み物してる)  両手を使い魔力をこうして……あーして…… 「! ……エルバ、そこで何をしているの?」    ――みつかった!    少しでも、まねをしょうとすればすぐに見つかる。 「ママ……」 「こんな壁ぎわで、なにしていたの?」 「あ、あのね、ママに絵本を読んでもらいたくて……」   「絵本? あーあ、クマさんとウサギさんの絵本ね。いらっしゃい、エルバ」 「うわっ!」  ママがひょいと指を動かせば。  私の体はフワリと浮きソファーに座るママの膝の上にのり。ちかくの本棚からは絵本が飛びだして、私の膝の上にのる。 「コレ! クマさんとウサギさんの絵本。ママ、ママ、はやく読んで、読んで!」 「はいはい読むわね。昔々、ススの森になかよしなクマさんとウサギさんが住んでいました……」 「クマさん、ウサギさんなかよし〜!」 「そうね、なかよしね」  異世界の時間はゆっくり進む。  特に魔法使いは好きな時間に寝て起きて、気が向いたら薬を作り、実験して魔法を使う。    ――ほら、今日もお隣から聞こえてくる。 「ららら~らぁ~」 「あ、お母さん、歌声〜」 「聞こえるね、この歌声はカリーナだわ。彼女の歌声はいつ聞いてもキレイね」 「うん、キレイ」  おとなりのお姉さんは魔力をふくんだ歌と水魔法を使い、庭に咲いた花と木々に水を撒く。その水と歌を浴び、花と木々は生き生きと育っている。 「ママ、みてもいい」 「いいわよ、エルバ用のお立ち台用意するわね」  ママに置いてもらった、お立ち台に立ち窓枠から見つめると。花に水をまくお姉さんは魔力の光でキラキラしていた。 「うわっ、キラキラ」 (すごく、繊細な魔力をあやってる)  その反対側の家からは薬を作っているのだろう。  ナナばぁーの楽しげで、パワフルな魔法詠唱が聞こえてきた。 「ほれっ、そりゃ、とう! 良い腹痛の薬になるのじゃーぞぉ!」  この詠唱と歌をきき、ママはエプロンを付けて袖をまくった。 「エルバ、私達もお隣のカリーナとナナばぁーには負けられないわよ」 「あい!」  ママもうたい指揮者の様に人差し指を振りながら、魔法を操り家の掃除を始める。私も真似て歌い、子供用のはたきを持ちお手伝いをする、楽しい時間。
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