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 好奇心に負け痺れ草を食べ、エルブ原っぱでお昼寝中。近付く足音と顔がモサモサして目を覚ますと、顔の上に得体のしれない"ナゾの薬草"が置かれていた。  だ、誰かのいたずら?    いや、周りは大人しかいないし、十歳の私にそんなことしないだろう。その薬草を手に取って調べると、小さな赤い実が実っていた。  これ、はじめてみる薬草だ。  博士、この薬草は何。 《これはピリトリ草といいます》  ピリトリ草?  効能は? 《薬草にみのる赤い実は麻痺を取り除いてくれます》  痺れとり?  博士にタネを貰い畑に植えて、もらった薬草から赤い実を一粒とり食べると、口の中でプチッと赤い実が潰れた。 「ス、スッパイ――!」  梅干しよりもくる……でも、すぐに効果がでて痺れが取れた。    この薬草、いったい誰がくれたのだろう?  まわりを探したけど誰もいない『ありがとう』と、お礼をいって、マジックバッグにしまった。      二年が経ち私も十二歳になり、一つ覚えたことがある。  それは「スキルオープン!」と唱えると画面が現れて、私のステータスを教えてくれる。  先の方で気付くのかもしれないけど、薬草を調べるのが楽しくて、その存在をすっかり忘れていた。  名前・エルバ(12)  職業・時渡りした魔女(キャンプ好き)  レベル・50  体力・1500  魔力・2000  攻撃力・1500  防御力・1000  俊敏性・100  スキル・植物鑑定(MAX)複合図鑑100/53  麻痺耐性(強) 毒耐性(強) 強化胃袋(鉄壁)  魔法 火、水、氷、風(レベル1)生活魔法(レベル1)調理(レベル1)調合(レベル1)  固有スキル・エルバの畑(レベル3)  どうやら私は麻痺、毒は効きにくい体質みたい。  そして、アイテムボックスも入れるだけで、確認していなかった。  中身を確かめると採取した薬草と、あの日、リュックに入っていたキャンプ道具がはいっていたのだ。  ――飛ばされたとき、カバンごと抱きしめたから一緒に来たのかな?    二合炊きのメスティンと五徳、風防、自由自在折りたたみテーブル、クッカーセット、ヤカン、スキレット、寝袋、テント、ランタンだ。  私の大切な愛用品……お給料はたいてい買ったから、嬉しい。    +    ある日――食卓の上に稲穂に似た薬草が束になって置かれていた。もしやコレはお米じゃなかろうか。  すかさず博士に聞いた。 《これはコメ草といいます》  コメ草……  この世界の野菜――ジャロ芋とかダイダイコンなど名前は違うけど、見た目が同じな野菜は数あったけどお米はまだなかった。  博士、これ食べれる。 《食用です》  食用、食べられる。  効能は。 《タンパク質、糖質、ビタミン、炭水化物、食物繊維が豊富です》  コレ、お米きたかも! 「博士、タネを頂戴」  この日、エルバの畑にコメ草が生えた。  薬草だから、田んぼでなくても育つのはさすがファンタジーだ。
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