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ーー私が女子というだけで野球は無理だと言われてきました。
でも私は一つずつ壁を乗り越え、時にはぶっ壊して、プロ野球の扉を開きました。
私は古い考えの野球界に一石を投じる存在なのです。
〈書籍 ボンバーガールのキセキより抜粋〉
※※※※
都内の大学、野球部専用グラウンド。
その端にあるブルペンで一際大きい女子選手が居た。
季節は5月。彼女は入部したての1年生。
マウンドからキャッチャーを立たせて、左腕から力強いストレートを投げている。
「霧島、そろそろ座ろうか?」
同学年のキャッチャーに言われ、霧島麗は頷いた。
帽子を取って汗を拭う姿は、ベリーショートの髪に切れ長な瞳。
一見、中性的で宝塚の男役のような美人。
ピッチングが進むうち、1人の男が近付いてきた。
野球部監督の山本だった。
初老の山本は、ウララが居ることを確認すると一言、「ピッチングを見てやろう」と手取り足取り指導を始めた。
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