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あの乱闘騒ぎから2ヶ月。季節は7月、夏を迎えていた。
大学を中退し、自堕落な生活をしている霧島麗に一本の電話がかかってきた。
エアコンの効いた部屋でスマホをいじっていた矢先だった。
『ウララ、暇してるなら私の店手伝ってよ。バイトが辞めちゃってさ。人手が足りないんだよね』
「えぇ、アンタのお店怪しいスポーツバーじゃない。嫌だよ」
『いいから来なさい!いいわね。15時に店に来るのよ!』
一方的に伝えると電話は切れてしまった。
(何だよ。嫌だなぁ)
ベッドから立ち上がり、トレーニングウェアに着替え、姿見で髪を整える。
今の時間は14時。
電話の主が開いている店は、ウララが住んでいる街の最寄り駅近く。雑居ビルの一角にある。
歩いて25分程の距離。
もう家を出て、街ブラでもしようと決めて、玄関に向かった。
入道雲が浮かぶ晴天の中、ウララは自販機で買ったお茶片手に街の店先を見て歩いていた。
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