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まさかこの人も何かを企んでいて、その目的の為にあたしに声をかけ車に乗せたんじゃないだろうか。騙そうとしてるんじゃないだろうか。
ちょうど手頃なヤツがいた!みたいな。
「どこ、連れてく気?」
どうしよう。もう車に乗っちゃったし、すでに走り出しちゃってる。今さら降りたいとか無理くないか。
不安が声に乗り、震えてしまう。あたしの心の中がわかるのか、男は運転しながらチラリとこちらを一瞥してフッと笑う。
「ビビってんのか?」
「ビビってる」
やたら素直になってしまうのは、傷付いているからか。素直になれば、助かると思っているからか。
けれど、怖いものは怖いのだから仕方ない。
「酒飲めるとこだ。安心しろ」
見ず知らずの男の言葉で安心など出来ない。ついて来たのは自分なのだから、騙されたとしても自己責任なのかもしれないけれど。
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