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独特なオーラを纏う感じの悪そうな男なのに、こうして話してみると意外とちゃんと会話になる。普通に笑ったりもするから、ちょっと驚いた。
勝手にイメージを作っていただけだからこっちがホントなのかもしれないし、あたしを騙そうとして良い人風を装っているのかもしれない。どっちなのか、わからない。
あたしの心の中にどっちでもいいやって。騙されてもいいやって。そういう気持ちが湧いてきている。
二年付き合った男にフラれた直後だというのに、あたしの頭の中は隣の男の事でいっぱいだ。妖艶なオーラを纏う、眼鏡の男の事ばかり考えている。
ついさっきまで修羅場?して泣いていたのに、こんなに一瞬で夢中にさせるなんて、危険な男なんじゃないだろうか。
パッと見、目立たないのに。ホントは目立たないようにしてるのかも、とか。自分を〝黒〟で隠しているのかも、とか。
初めて話す男のことをアレコレ想像して。バレないようにこっそりと、ハンドルを握る男を窺うように何度も盗み見た。
ただ運転しているだけでサマになる。無造作に束ねられた漆黒のサラサラの髪も、いかにも伊達っぽい黒ブチ眼鏡も、すべてがオーラの根源だ。
薄暗い車内で見る男はますます妖艶で美しく思えて、そのオーラに吸い込まれてしまいそうになる。
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