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仕方なく降りて辺りを見回す。夜じゃなくても怪しそうなそこは、夜だからもっと怪しくて恐ろしく感じた。
ホントにどこに連れてく気なの。
「はぐれんなよ」
ビビった顔をしているだろうあたしに、余裕の笑みを浮かべた男は暗闇へと向かって歩き出す。入っていくのは明らかに裏通りだ。
ビビりながらも、はぐれないよう背中を追う。
こんなところで男とはぐれたら、一貫の終わりだ。一生、現実の世界に戻れる気がしない。そう思って必死に男を追いかけた。
間違いなくこれは現実なのだけど。
そんな風に冷静になる余裕などなかった。
到着したのはこれまた怪しげなバーだった。カウンター席が8席あるだけの、お世辞にも広いとは言えないお店。
外観からは想像出来なかったけれど、店内はオシャレで。そこには何故か黒髪の黒ブチ眼鏡の男と同じ独特なオーラが漂っていた。なんだか不思議な気持ちになる。
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