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カウンターの中には柔らかな茶髪の無駄に素敵なアイドル風の男がいて、「いらっしゃいませ」とにこやかに笑ってくれて、スマートにカウンター席へと促してくれた。
お客さんはあたしと黒ブチ眼鏡の男だけだ。
ホントにお酒の飲めるとこだった。かなり、いや、むっちゃ疑ってたけど、ちょっとだけ信じてもいいのかもしれないと思った。
何にも知らないクセに、ホント単純。
怖いもの知らず。
「なに飲む?」
隣に座った男に訊ねられたけど、こういうところに来たことのなかったあたしは戸惑った。
この男にあたしがどんな風に見えてるのかわからないけれど、初めての彼氏がマサ君だったというくらい、そういうのには無縁で生きてきた。
うわべだけの付き合いしかして来なかったあたしは、こういうところに来る機会は上手くかわして、インドアで過ごして来たのが実際だった。
答えないあたしにカウンターの中の素敵な男が、「おまかせでいいー?」と助け船を出してくれた。
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