失恋からの

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そこそこお高いこのマンションにあたしが住めるのは、親の財力以外のナニモノでもない。就職祝いだと、プレゼントしてくれた。 その時からずっとここに住んでいる。会社にも遠くなく、程よい距離がちょうどよい。何にも不便なことはないし不自由なこともないから、不満などないのだけれど。 ついでにぶっちゃけると、会社にもコネ入社だったりする。パパはとにかく、あたしに昔から甘い。なんでも与えられてきたあたしは、そういう風にしか生きられなくなった。 結果、友達という友達も出来ず。チヤホヤされながら、それなりにうわべだけを取り繕うような学生時代を過ごした。 今の会社に就職してからも、コネ入社のレッテルを張られながら今日までやって来た。もう慣れたけど、しんどいと思うこともある。あたしの価値って、なんだろうって。 わかっている。そんなことを考えるのなんて重いだけ。 「ミュウちゃん、おかえりー!」 そんな時出来たのが、今の彼氏だった。普通の会社員のマサ君はあたしを色眼鏡で見たりせず、いつもどんなあたしも受け入れてくれた。 帰宅したあたしをギュッてしてくれたマサ君は、「ご飯もう出来てるよ!」と柔らかく笑った。
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