失恋からの

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お前の魅力がわかんねぇソイツがおかしいんだよ、とか言ってくれても良いと思う。 慰めるってそういうことじゃないのって。 気休めのひとつも言ってくれないのって。 そうじゃない言葉しかくれないのって。 ひたすら愚痴のような、あたしのくだらない話を聞いてるだけなんて何だか超絶にもったいない。もっと構ってくれたっていいじゃない。 そうは思うものの、いざどんな言葉が欲しいのかと問われるとわからない。 変に慰められてもウソくさいと感じるだろうし、傷口が広がるだけかもしれない。だから、これくらいがちょうど良かったのかもしれない。 ぐでんぐでんになった頃、カウンターに素敵な男が素敵なまま戻って来て「帰るぞ」と黒い男が立ち上がった。正直、よく覚えていないのだけど。 支えられながら立ち上がり、男に掴まりながら外に出る。お会計を気にすると、「俺がちゃんと払ったから心配すんな」と言われたから「ありがとー」と陽気に答えた。そこも、ちょっと記憶が曖昧な感じ。 ふらふらしながら歩き、乗ってきた純白を見つける。今度は後部座席に乗せられたかと思うと、男も一緒に乗り込んで来て隣に座った。運転席には知らない男が乗っていた、気がする。 走り出した車内では男の肩に頭を寄せて、恥ずかしげもなく男にくっついていた。端から見たら恋人同士に見えるかなぁ……、なんて心の中で突っ込む。
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