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初めてとか言われたら、ちょっと嬉しくなる「へぇー」なんて言いながら、ふにゃふにゃとにやけて、へらへらとしてしまう。
「この俺にここまでさせるとか、なんなのお前。いい度胸してるよな」
「そーかな」
「誘ってんのかよ?」
「さそったの、そっちでしょー」
へにゃへにゃしながら仰向けに寝ていたあたしは、男のほうに身体を横に向けようと、ソファーの上で動く。すると、予想外に勢いよく転がりすぎて男の上に落ちそうになった。
自分でもやっちまったと思ったのだけれど、落ちなかったのは男がさらりと助けてくれたから。
「なにしてんだよ。いいかげんにしとけ」
落ちる前にガードしてくれた男の腕があたしを包み、また丁寧にソファーに寝かせようとする。
その流れで横向きになると、男の顔は意外と近くて。目の前にある黒ブチ眼鏡の奥の瞳が、「大丈夫かよ?」とまじまじと見つめてきた。
この雰囲気でそれはダメでしょ。ホントにそのオーラに吸い込まれたくなる。
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