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初っぱなから容赦ない濃厚な絡み方をされて、呼吸の仕方もわからなくて苦しくて息があがる。絡められる舌を避け逃げ出そうとするけれど、男はそれを許さない。
追いかけてきて、絡める。
先回りされて、絡まる。
後頭部に手をまわされて動けなくして、もっと深く堪能するように動きまわる。あたしもまた、それを堪能していた。
静かな寝室にいやらしい音が響く。時折わざとらしく、ちゅって音を立てて、あたしの反応を見ながらそれを楽しむように重ねてくる。
あたしが感じているのを確かめるように視線を合わせてくるから、恥ずかしくってたまんない。反応を見て、また深く熱をもたらす。男のそれが苦しいのに、心地よくて気持ちいい。
こんなキスをされたのは初めてだった。キスがこんなに感じるものだなんて知らなくて、こんなに気持ちよくなるなんて思わなかった。
マサ君のキスと全然違う。比べちゃいけないんだろうけど、比べてしまう。こんなに温度のある熱を感じたことなんてない。
マサ君のキスは―――
「おい」
男とキスをしながらマサ君のことを思い出していたら、急に男がスッとあたしから離れた。離れた熱に名残惜しさを覚える。
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