失恋からの

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マサ君が誰だか知らない女の人と腕を絡めて歩いている現場に遭遇したのは、昨日の仕事帰り。 バッタリと出くわしてしまったあたしにマサ君は驚いた顔をしたものの一緒にいた女の人に、「ツレの彼女ー。別嬪だろー」と悪びれもなくあたしを紹介した。 まったく意味がわからなかった。 謝罪のラインが何度か来て会う事になった今日、仕事帰りに合流して上手く丸め込まれて。あたしのマンションの下まで来たわけなのだけど。 エントランスを入ったところで言い争いになり、「うぜー。もういいわ。めんどくせー」とマサ君の本性が露になったところから始まった。 高級料理ってさ、たまにでいーじゃん?毎日はキツいんだわ。 マサ君はあたしを高級料理に例えた。自分が高級料理だなんて思ったことのないあたしは、言われている意味がわからなかった。 顔とお金だけ、か……。そーいえば、全部あたしが出してたっけ。 マサ君も結局はおんなじだったんだ。うわべだけを取り繕って来たあの頃と、何にも変わっていないのかと思うと悔しかった。
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