森鴎外の本名と同じ

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「えっと、今日、会社ですごい怒られちゃって。結果的に間違えたのはあたしだから、もちろんあたしが悪いんだけど、指示がものすごく遠くて聞こえなかったり、怒るのももう少し柔らかく怒ってくれればなあって思って。ものすごく凹んじゃったから、聞いてほしかったんだ」  たいしたことじゃなくてごめんね。そう笑おうとしたら、林太郎が立ち上がって、結の隣へ座った。風が動いて、抱きしめられた。甘い匂いがいっぱいに広がる。 「いい子ね。よく頑張ったわ。偉い偉い」  そうして、頭を撫でてくれる。  結が悪かったら、林太郎はちゃんと叱ってくれる。そういう人だ。けれど今は結もちゃんと分かっているから、ちゃんと受け止めてくれるのだ。  今一番ほしい言葉と、温もりを添えて。 「泣いてるの? 泣くのはストレス発散にいいから、たくさん泣きなさい。化粧崩れも心配しなくていいわよ」 「な、泣いて、ないよ!」  林太郎の言葉が追いうちで、瞳いっぱいにもり上がっていた涙がこぼれた。あとからあとから、あふれてきて止まらない。なぐさめて頭を撫でてほしいと思っていたのは結自身だけれど、本当にされると破壊力が強すぎて卑怯だ。
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