第一章 *冬*

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 しどろもどろになりながら、凪は内心、なんて面倒な事態になったんだと嘆いていた。まさかこんな巻き込まれ事故を食らうとは思わなかった。  そう思っているうちに、蝶野まゆは勢いよく頭を下げる。 「お願いします。私のダンスに率直な意見をください」 「だから俺、素人なんだって」 「そういう人が必要なんです」  引き下がらねえな、こいつ。  凪はますます面倒なことになったと苦虫を噛む。それを了承と捉えたのか、蝶野まゆはスポーツ用のジャージのポケットからスマホを取り出した。  今度は連絡先の交換か。  真摯な姿勢なのは褒められるべきところだが、相手のあまりにも必死な態度に、凪は少々面食らっていた。しかしそれを伝えることもできず、凪はしかたなく自分もスマホを開いた。    *
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