第二章 *早春*

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「あんたから連絡してやったら?」 「うーん、気分が乗らなくて」 「うわ、サイテー」  メンバーの新田(にった)は眉をひそめ、女たらしは困るわーと小言をくり返す。 「あいつの進む道には将来性が感じられないんだよ。次は堅い女を捕まえないと」 「誰かー。ここにクズ男がいまーす」  新田は大仰に息を吐き、自作の弁当を広げて箸を動かす。ウインナーをはさみ、凪のカップ麺にポイッと放り投げる。 「あげる。私からの慰めとして。栄養ないでしょ、その量じゃ」 「何だよそれー」  新田は凪の異論にかまわず、ほうれん草のひたし、卵焼き、プチトマトなどを次々に放る。凪は大人しく受け取って、麺と一緒に口に入れる。 「俺がかわいそうなんじゃなくて、俺に遊ばれた蝶野まゆさんがかわいそうなんですよ」  得意げに笑う凪を見て、新田は若干深刻に表情を落とした。 「溺れてるのは、凪だと思うけどなあ」 「まさか」  凪は一笑する。新田がこちらを見ている。 「悪趣味なストーキングしてたら、まゆちゃんから声をかけられたんだよね?」 「おう」 「まゆちゃんのどこに惹かれて、付き合ったの?」
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