爛れた夏

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夏は狂暴な太陽の熱を纏い降臨した 茫洋とした僕の命を奪いそうな勢いで 何もかもを腐敗させて 僕は熱病の様に真夏の夜を彷徨う 鉄砲百合が甘く薫っている 月が螺鈿のように煌めいている 夏の闇は常闇 爛れてゆく 僕の心も体も もう全て放棄して いっそ夏に溶けてしまいたい
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