追記(おまけ)…

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「い〜や〜で〜す!!なんで俺が第二道場に行くメンバーに入ってないんですか!?」    半ベソ半ギレのリエーフが俺に食ってかかってる。  そう言われてもなぁ。  今回の人事異動の人選は俺じゃなくて、シエル館長とエルンスト副館長、肥前七段だ。  第二道場が若手中心なのは分かっていたが、今現在道場に所属する講師やコーチ、練習生門下生の分け方はまだ分からなかった。  異質な路線を突っ走る予定の第二道場だ。  だから講師関係の異動もそれなりの人選になるのは分かるけど。 「モルダー五段とユージェニーはそっちなんでしょ!?なんで俺は残りなの!?」  いや、うちは女性有段者が少ないからジェニーが来てくれるのは嬉しい。現在大学生のジェニーだが、稽古熱心で空いた時間には女性練習生や幼年部の指導もコーチとして手伝ってくれている。  何よりジェニーは美しい。言い方は悪いが広告塔、天武流合気道エクササイズで貴女もユージェニー・フロイス四段のように美しくなれる!…かも、的な。  誰だ、この事業計画を立てたの( ̄▽ ̄;)ジェニーが大学を卒業して他所の土地に行ったら即終わるぞ。 「俺だって本当は低学年担当なのに〜!マークスと一緒に高学年担当に変えられた〜!!なんで〜!?」  あ〜はいはい、でもマークスは文句など一言も言ってないぞ。あの子は逆に女性が多くなりそうなこっちには来たくないらしいし。  リエーフはきっと、ちび達と遊びたいのとアレクと離れたくないのと。全く、大きなガキ大将だから。  困ったヤツだ。リエーフは大学を中退してて、アルバイト代わりにうちのコーチをやっているのに。仕事を選んでいる場合か。 「絶対第二〜!第二が良い!!俺も第二行く〜!!」  ああうるさい、駄々っ子か。  まもなく完成予定の第二道場の人事が出た途端にこれだ。誰か助けてくれ〜 「リエーフ、ほら稽古に戻るぞ」 「だってマークス〜」 「あ〜はいはい」  マークスに引きずられて行くリエーフだった。 「師範代、お困りですね」  傍でウォーミングアップしていたアレクが笑う。 「ああ、あんなデカい駄々っ子は見た事ないよ。暫く続きそうだ」  本当に勘弁してくれ。 「でも俺個人の考えではリエーフは第二で良いと思うのですが」 「なんで?」  第二で遊ぶ気満々のあいつが? 「あいつ、よくも悪くもあの顔でしょ。エクササイズコースの女性の中にはリエーフが見たくて練習生になった方もいるんですよ。まぁ要するにファンです、逆に第二にリエーフがいないとなると、辞める女性もいるかも」 「マジで!?」  ダメ王子様の容貌がいつの間にか役に立っていたのか!? 「マジです、多分10人前後は」 「おいおい」  死活問題だそれ、第二みたいな小さい道場で10人も辞められたら。  これは世に言うイケメン枠なのだろうか。 「俺、ちょっと肥前七段に相談してくるわ」  第二道場の前途にまさかの伏兵だ。これは肥前七段もシエル館長も知らない事実だわ。  さて俺の報告で事務所はびっくり、でも納得出来る部分はあると言うところで。誰も最初からリスクは冒したくはない。  かくしてリエーフは本人の希望通りに第二道場に異動予定になった。  遊ぶ気満々のヤツが、諸手を挙げて大喜びしたのは言うまでもない。  最初から前途多難な事業計画を押し付けられてる我が第二道場。まさかリエーフが客寄せパンダだったとは。  もうパンダ枠でもイケメン枠でもなんでもええわ。  どうなるんだよ、これ。  事業計画の作成責任者、俺と肥前七段に謝れ!!!  前途多難…    チャンチャン☆という訳で。  その後の昂輝のとある日常でした(*・ω・)*_ _)  昂輝はこんな調子で天武流最強の総務職(サラリーマン)を目指すんだろうな〜と思ったら書いてました(笑)
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