終章 

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 さて、俺もやっと喉の痛みも消えたし、鏡で見ても切除した口蓋部分の腫れが引いてる。これで元のように普通に運動しても問題はないだろう。  それを夏那にメールして仕事に行く準備をする。さぁ今日もしっかり働こうか。  本当に日本からこんなに離れた国にいるのに、相変わらず家族との距離は感じない。  これはいつでも互いのことを気に掛けている我が家の特徴のようなもんだ。  俺は自分が孤独なんだと思ったことは一度もない。だから今も七転八倒しながらも自分が戦う場所と決めたNY(ここ)に居るのだから。  きっとそれぞれが自分のやるべきことを分かってさえいれば、大事な者達との実際の距離など関係ないのだと思う。  それが俺が10年を過ごしたこの異国の地で出した結論だ。  俺はこの場所を自分で選んでやってきた、そのことに1ミリだって後悔は無い。  そしてやりたい事、自分がやるべきことが全部終わったその時に、この手の中に大事なものが残ればいい。  俺はそう思っている。 a2c49fb5-6f65-4f9d-aec6-c52a6467e895  終わり
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