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「身勝手な魔力は魔力量の統一性に欠ける。それはお前も知っているだろう。時には全く魔力を込められなかったり、魔力量が多いと自身にも影響を及ぼし我を忘れさせることもある。魔力型がB型の人間は危険だと、とうの昔、A型の人々の間で度々言われてきた。そのせいだと思われる」
「つまり、クリフィール王女はA型だと?」
「さあな。そこまではわからん。向こうがどうして、どうやって、お前の魔力型を知ったのかすらも謎のままだ」
A型の可能性は高いだろう。
父から告げられても尚、イリスにはB型という理由で婚約を解消されようとしていることに納得出来なかった。
しかし、分かったこともある。
婚約の解消は決定事項。
両親も兄もクリフィール王女が婚約を破棄したことを仕方ないと思っていること。
A型はB型を嫌っている。
そう、だから――両親も兄も家族である自分を昔から快く思っていないのだ。
「これだからB型は。父上、イリスの魔力型は変えられないのですか?」
「それが出来ればとうの昔にしている。魔力型は生まれ持ったもの。変えることなど出来ないのだよ。せめてB型だという事実を隠し通してくれれば良かったものを……」
イリスは手にギュッと力を込めた。
国王としてその物言いはあまりに酷いのではないか。B型が嫌いなのは仕方がないにしても、そこまで嫌いならばいずれこの国王はB型の民を見捨てるのではないかとさえ想像出来る。
そんなことは認められない。B型として生まれただけで差別される民の気持ちを考えないなんて、それでも国王か。
「お言葉ですが父上、いえ国王陛下。その物言いは如何なものかと思われます。この国には魔力型がB型の民も大勢いるのですよ。彼らは陛下にとって恥となる民なのですか? 己の魔力型を隠して生きてほしいと彼らに願うのですか?」
「そうとは言っていないだろう! 王子であるお前がB型なことに問題があるのだ。何故こんな簡単なこともわからない!」
勢いのあまり、父は玉座から立ち上がって声を荒げた。
それを落ち着かすために、母も珍しく大きな声を出す。
「陛下、イリスを責めるのはやめてください。B型の王女との婚約を勧めなかった私の責任でもあるのです」
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