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「だだだ第四王子……?!」
「そう。君が弟にしたのは第四王子ランドリオンだよ」
その後、無事に競売会場を脱出したリリーノートが連れられてきたのは王城。そこで待ち構えていたのは、王太子こと第一王子フェルナンドであり。
「騙して悪かったな、姉・さ・ん」
「やめて。こんな大きな弟なんていません私には!!」
あの日その場限りの姉弟となったリオンは、魔道具によって少年に姿を変えていたランドリオンであったという説明を受けたのであった。
「仲睦まじい様子は見ていて楽しかったよ?」
「王太子殿下までおやめください……!」
「や、君には感謝してるよ。これで大っぴらに人身売買について調査できる」
彼らはいまだ国暗部で横行する人身売買を憂い、直々に調査へ乗り出していたらしい。そこに運よく、リリーノートという貴族の被害者と調査に出たランドリオンが出会ったという訳である。
「君たちのような見目を金に換えようという輩をこれで少しでも減らせればと願っているよ」
「……有難うございます、王太子殿下、ランドリオン様」
その身を以てその被害に遭っていたリリーノートは、心からの感謝とともに深々と頭を下げる。
「気にしないで、仕事だからね。ああそれとリリーノート嬢」
とかく身の危険を脱し、とりあえずは一安心。そんな心持ちのリリーノートに、そこはかとなく含みを持った笑みを浮かべた王太子殿下。
「はい、なんでしょう?」
少しだけ嫌な予感を持ちつつ、微笑みを浮かべてそう聞き返せば。
「――ランドリオンと君、婚約させることにしたから」
「……は?!」
青天の霹靂ともいえる宣言。目を向ければ、似た色合いの青年はにっこりと微笑を浮かべて。
「よろしくどうぞ、リリーノート?」
即席な姉弟は、婚約者へと発展した模様である。
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