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ラブレターを、渡す。その言葉は今の僕にとっては禁句も同然で、あの時の光景がフラッシュバックして、それで━━━━━━━━
「落ち着いて、穂高」
気が付くと、耳元で美奈に囁かれていた。
「……危ない所だったね。今の君の顔色を見る限り、燃える1歩手前って所かな」
「……」
僕はその言葉に何も言えず、項垂れるしか出来なかった。美奈は溜息をついて、また僕の耳元で囁く。
「今日の夜9時、あの川で待ってる。来たくなければ来なくてもいい。あの場所は君にとって、トラウマみたいなものだからね」
「……美奈に何が分かるんだよ」
思わず強い口調を使ってしまった。でも美奈は寂しそうに微笑むと、顔を背けた。
「分かるよ。私にとっても、トラウマな場所だからね」
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