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僕たちは毎日夜9時になると、川岸に集まって、作戦を練るようになった。美奈が提案する事が殆どで、僕は実験台としてそこに佇むばかりだった。
恐怖への耐性を付けるためにホラー映画を何本も観たり、竹刀で体を叩いて精神を鍛えるなんて事もした。竹刀で僕を叩いている時の美奈は心底楽しそうで、ストレス発散に僕を使っているのでは無いかなんて思った。
前者も後者にも共通して言える事は、結局は川に飛び込む事になったって事だ。
「うーん、上手くいかないなあ」
「……やっぱり無理なんだよ」
自分で用意した着替えを着ながら、僕はそうボヤく。医者に相談したりインターネットで調査したりしても、解決策はヒットしなかった。
「大丈夫。きっと上手くいく」
美奈は口癖の様にそう言う。相変わらず暗闇で顔は見えないが、僕を励まそうとする意思はひしひしと感じていた。
「私の作戦は成功しなかったが……仕方ない。強硬手段を取るよ」
「強硬手段?」
美奈は、僕にスマホの画面を向けた。
「明日、美術館に行くよ」
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