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「ううん、お兄ちゃんが将棋の情熱を取り戻せなかったら私も女流棋士を辞めて就職しようと思っていた。だからもしお兄ちゃんがプロになったら私も夢の続きが見たいと思う」
「夢の続き?」
「史上初の男女兄妹プロ棋士だよ。もしタイトルを獲ったら私も一部だけどプロ棋戦に参加できるし、そこでも勝って編入試験の資格を取るわ」
「お前、簡単に言うけどな……」
俺が簡単ではない事を言おうとしたが、琴子はまた強く俺に言い放った。
「そうかもしれないよ。でも一度は閉ざされた道が開いたんだよ。私は進みたい。それでもダメなら、女流棋士を続けるだけだし、お兄ちゃんも今の会社にプロになってからも関わればいいんだよ」
「はあ、どういうことだ?」
「将棋部の指導棋士もすればいいじゃない。そうしていればもし引退してもその会社で仕事をもらえると思うから」
「全く、お前の発想には驚かされるな、でもおかげで決意が固まった」
次の瞬間、俺は琴子に自分の思いを話す。
「プロ編入試験受けるよ」
「うん、それでこそお兄ちゃんだよ。私も少し遅れるけどプロ編入試験受けるから」
「全く、あんましお兄ちゃんと一緒にプロになるとかにこだわっていると彼氏できないぞ」
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