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夕食後、俺は1人リビングでどうするかを考えていた。
俺がプロに、再びこんなチャンスが来るなんてと思いつつ、不安もあった。今からプロになったところでそんなに勝てるのか?勝てなかったら若くして引退もあるし、またあんな思いをするのは……。
「お兄ちゃん、どうしたの1人でリビングにいて?」
「琴子か、すでに知っているだろうが、実はプロ編入試験を受ける資格を得たんだが、どうしようか迷っているんだ」
「どうして迷うの?お兄ちゃんがなりたがっていたプロ棋士が近づいているのに」
「あのなあ、お前は知っているだろうけど、たとえ編入試験を突破してもフリークラススタートなんだぞ、順位戦に参加できなければ収入が今より下回るし、10年以内にフリークラスを抜けないと強制引退なんだぞ、その時俺40前だぞ」
もし奨励会を突破していれば、順位戦に参加でき、ある程度の固定収入はあったが、フリークラスだと対局した数の分の対局料しかもらえない、つまり勝ち続けないと収入があきらかに今の会社員の身分より落ちることもあるんだ。それにフリークラスを抜けられず引退なんて事になったらまた無職だ。
もう俺はそんなのは嫌だ。だがそんな俺に妹が声をかける。
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