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そんな時、愛花と出会った。
出会ったというか、再会。
あいつの家に遊びに行った時は中学生だったのが、高校生になってすっかり垢抜けていた。
程よくバカで顔も可愛い。
無愛想なあいつと違って、よく笑って、よく泣く。
「お姉ちゃんいなくなっちゃったし、寂しいでしょ?」
「あたしが慰めてあげよっか?」
そんな言葉にのせられて、つい魔が差したんだ。
…男なら仕方ないだろ?
そのうち、どんどん本気になってった。
何考えてるかわかんない無愛想なあいつより、愛花の方がよくなった。
それで、遠距離を理由にあいつに別れを告げた。
あいつは泣きも怒りもしないで、
「そう、じゃあ、別れましょうか。」
って一言だけ言った。
愛花にあいつと別れたことを告げた時、お姉ちゃんに申し訳ないって泣いていた。
全部、俺が悪いのにな。
そういえば、あの日、あいつがなんで泣いていたのか結局聞けずじまいだったな。
後にも先にも、あいつの涙を見たのはあれっきりだった。
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