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序章
『ひとりかくれんぼ』
私がそれを見つけたのは少し古いまとめサイトだった。
寝付けない深夜の暇つぶし…。
いつもなら地元に残してきた恋人の明良と取り留めのない通話をしている時間だった。
でも。
「やっぱ俺、遠距離とか無理だわ。」
つい二週間前、明良は唐突に別れを告げてきた。
「そう、じゃあ、別れましょうか。」
平静を装って、そう返事をした私は最後まで可愛げの無い女だと明良には思われただろう。
子供の頃から、私は欲しいものを欲しいと言えない性分だった。
世渡り上手な妹の愛花にいつでも欲しいものは奪われた。
「お姉ちゃんなんだから。」
親からはいつもそう言われてきた。
背後に隠れる妹が笑いながら舌を出しているのも知らないで…。
ねぇ、明良。
遠距離が無理だなんて、本当は嘘。
私は知っていた。
明良が愛花と浮気をしていたことを。
愛花のSNSにそれらしい投稿が幾つもあった。
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