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「あの犯人たちしか考えられない。あの犯人たちは禁断の方法を使って俺たちを作った。だけど、それが公安委員にバレた。だから……銃殺された。でも、それが表沙汰にならないように、公安委員は俺たちが養育施設から誘拐された事にした。全て辻褄が合う…」
「じゃあ、何か。俺たちは犯罪被害者じゃなくて、犯罪のサンブツだってことか」
ペ292は混乱したように、頭を掻きむしった。
「ああ、全く訳がわからん」
「親子丼ってさ…」
ンーーーーーーー介太郎子が言った。
「卵と鶏肉で、親子丼。鶏の子供が卵で、鶏の大人が鶏だ。大人から子供が生まれるなら、卵を作ったのは鶏って事だよな。で、その鶏の事を親って言うなら、やっぱり親って子供を作った大人の事を指しているんじゃないか…」
「同じ親から生まれた子供たちが兄弟…」
ポガロが呟く。
「俺たちを作ったのは、あの犯人たち。つまりあの犯人たちが親で、その犯人によって生み出された俺たちは兄弟って事になるんじゃ…」
「あああああああ!」
ペ292が奇声を上げ始めた。
「ああ!もう分からん。俺にはさっぱり分からん。第一、全ては子供が大人から生まれるっていう仮定が成り立った上の話だろ。まず、それを証明しないと何も始まらないだろ」
これには、ポガロもンーーーーーーー介太郎子も「まあ、そうだけど…」
というしかなかった。
その時、突然ンーーーーーーー介太郎子の抱えていた猫が鳴き始めた。三人ともその存在をすっかり忘れていたので、どこで泣き声がしているのか把握するのに少し時間がかかった。
ニャアーーーー、ニャアーーーーー。
猫は鳴き続ける。
「おい。大丈夫か?」
ンーーーーーーー介太郎子は抱えていた猫をそっと、地面に降ろしてやった。
「おい、これ!」
ポガロが猫を見て叫んだ。
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