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「なあ、昔は兄弟ってのがあったらしい」
ポガロがペ292に言った。
「兄弟?なんだそれ?」
ぺ292が返す。
「同じ親から生まれた子供たちの事を兄弟って言ったらしい」
「おい、ちょっと待ってくれよ。その親って言うのは一体何だ?」
「え?親…親って何だろうな?」
ポガロとぺ292は『親』が何か分からず考え込んでしまった。
家のドアが開き、ンーーーーーーー介太郎子が入って来た。ンーーーーーーー介太郎子は一匹の猫を抱えていた。
「どうしたんだ?その猫?」
ポガロが訊ねた。
「何か体調悪いみたい。ちょっと落ち着いて来たけど」
ンーーーーーーー介太郎子はそう答えた。
「ところで、何の話?」
「ああ、そうだ。なあ、ンーーーーーーー介太郎子。お前、親って知ってるか?」
「何だよ。藪から棒に…。え?親?親…それはもしかして、親子丼の親と一緒か?」
ンーーーーーーー介太郎子が言った。
それに、今度はペ292が答える。
「親子丼って言ったら、鶏肉と卵の丼ぶりの事だよな。卵は成長すれば鶏になる。つまり、卵は鶏の子供だ。って事は、親ってのは子供の反対だから、要するに大人って事じゃないか」
「そうだそうだ。親ってのは大人の事だ」
ンーーーーーーー介太郎子も賛同した。
「で、それが一体どうしたって言うんだ?」
そう言ったンーーーーーーー介太郎子にポガロが話の流れを説明する。
「へえ、兄弟ね」
ンーーーーーーー介太郎子は神妙な顔つきになった。ンーーーーーーー介太郎子も兄弟という言葉は初めて聞いたらしい。
ところが、隣でそれを聞いていたペ292が首をひねった。
「いや、でもな。兄弟ってのは同じ親から生まれた子供たちの事を指す言葉なんだろ。もし、親が大人って意味なら、同じ大人から生まれた子供たちって事になっちゃわないか?」
それを聞いて、ポガロとンーーーーーーー介太郎子も顔を見合わせた。
「それは変だな」
「ああ、子供ってのは大人から生まれるもんじゃない。試験管から生まれるもんだ」
三人は振り出しに戻ってしまった。
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