始まり

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始まり

『結ちゃんのお母さんって綺麗だよね』    幼いころは単純に嬉しかった。だって、母さんは本当に綺麗な人だったから。    日に焼けてなんかいない白い肌も、艶々(つやつや)とした黒い髪も、ほっそりとした指先も。  全部、わたしの自慢の母さんだった。      いつからだったろう。それを怖いと思うようになったのは。わたしは成長して背も伸び、顔も体つきも変化していったのに、いつまでも変わらない母さんを気味悪いと、最初に思ったのはいつだったろうか。
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