始まり

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 あの子を拾ったのはほんの気まぐれだった。    死にたいと願い、しかしその願いを叶えてくれないこの体を抱えて絶望に飲み込まれそうになっていたとき、か細い光のように赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。    死を願う私と必死に生きようとしている小さな子。その姿に焦がれたのかそれともただの同情か。私は死ぬことを諦め、そっとその体を抱き上げた。    この時から、私の新しい人生は始まった。
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