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和哉くんのオネショする回数が減ってきた。お父さんが「すぐ治る」といっていた通りだ。休みの日は私が和哉くんのシーツを洗ってあげた。休みの日くらい休まなきゃ叔母ちゃんはどんどん痩せてしまう。それに私は”お姉ちゃん”だ。弟の世話をするのは当然だ。おんぶだろうが抱っこだろうがしなくてはならない。
「聖子のバカ!」
「うるさい和哉!」
ケンカになるとお互い呼び捨てになる。和哉くんは物を投げつけたり殴りかかってくる。正直痛い。痛いけど、憎らしいけど、可愛い。許せてしまう。もっと強くなって欲しいと思う。和哉くんが大人になるまで守ってあげたい、そう思った。
春休みになった。
「聖子ちゃん、和哉のお姉ちゃんやってくれてありがとう。大変だったでしょ?」
「和哉くん乱暴だしわがままだもんね」
「何だよそれ。聖子だって怒りっぽいぞ!」
「口も悪い!」
和哉くんが口を尖らせて殴りかかってきた。痛い。でも手加減しているのが分かった。
その時だった。
「こんにちは」
聞き覚えのある声だ。私はすぐに玄関に走った。
「美紗ちゃん!」
「聖子ちゃん久しぶりだね」
照れた笑顔の美紗ちゃんが立っていた。
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