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「遊びに来たの? それともこっちで住むの?」
「うん」
「えー、嬉しい! 毎日遊べるね!」
美紗ちゃんも家で暮らすのだと思うと嬉しい。毎日美紗ちゃんと話ができる。色々教えて貰える。私にお姉ちゃんができるのだ。
「和哉……」
私の後ろに隠れていた和哉くんを見つけると美紗ちゃんは両手を広げた。和哉くんは無言で駆け出し美紗ちゃんに飛びついた。美紗ちゃんは和哉くんを抱き上げ「重たくなったね」といった。美紗ちゃんは泣いていた。
「聖子ちゃん、今まで聖子ちゃんの部屋借りちゃっててごめんね。美紗も中学生になるから叔母ちゃんと暮らす事になったの。だからアパートを借りて3人で暮らすの。今まで和哉の面倒良くみてくれて本当にありがとう」
叔母ちゃんは私に頭を下げた。大人に頭を下げられたのは初めてだ。でも嬉しくない。ちっとも嬉しくない。
和哉くんは美紗ちゃんに幼稚園の事を次から次へと話していた。まだまだ終わりそうにない。和哉くんも美紗ちゃんも叔母ちゃんも笑顔だった。
私だけ、呆然と3人を眺めていた。
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