弟ダイアリー

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 中学生になった私は2階の部屋に移った。新しくタンスやベットを買って貰った。念願の自分の部屋だ。  壁の傷を見ると和哉くんを思い出す。これは和哉くんが癇癪を起こして絵本を投げた時の傷だ。床にはお絵描きをしていてはみ出して描いてしまったクレヨンの跡がそのまま残っていた。  和哉くんは今小学校に通っている。友だちと遊ぶのに忙しくて中々会えない。美紗ちゃんも今度は高校生だ。すっかり大人の女の人だ。  私は中学に入り新しい友だちができた。その時必ずいわれる。 「えー、ひとりっ子なの? そんな風に見えないね」  世間のひとりっ子のイメージってどんなのだろう。わがままで自己中心的だと思われているのだろうか。でもひとりっ子といっても人それぞれだ。ひとまとめに扱わないで欲しい。  自分じゃどうしようもない事だから。兄弟は色鉛筆みたいに奪って手に入れられるものではないから。  私には兄弟という感覚が分からない。分からないけど和哉くんは可愛い。お姉ちゃんにはなれなかったけど、あの時確かに私と和哉くんは兄弟だった。  私は今も和哉くんに片思いしている。 〈終〉
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