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夕飯は近くの中華屋さんにみんなで食べに行った。お客さんが来た日や特別な日にしか連れてきて貰えない。今日はラッキーだ。
家に帰ると外で花火をやった。和哉くんは大分慣れてきたみたいで遠慮なく花火を手に取って楽しんでいた。
「あ、それやりたい」
「ダメ。これは私の」
「やりたい!」
「ダメ!」
「聖子、お姉ちゃんなんだからやらせてあげなさい」
「え〜、和哉くんのお姉ちゃんは美紗ちゃんじゃん」
「……もういい!」
和哉くんは家の中に入ってしまった。やりたかった花火に火を点けた。キレイだった。でも1人じゃつまらなかった。仕方ない。次は和哉くんにやらせてあげよう。
夜布団に入るとお母さんが真面目な顔をして私にいった。
「これからは和哉くんの面倒みてあげてね」
「美紗ちゃんが来ないから?」
「うん。聖子が和哉くんのお姉ちゃんになってあげて」
「う〜ん、1週間だけなら我慢する」
「ううん。しばらくの間」
「え? しばらくってどのくらい?」
「分かんない。当分よ」
当分ていつまでなのだろう。変なの。
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