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「和哉くん、起きて。ラジオ体操に行くよ」
「え〜……」
まだ布団の中にいる和哉くんを叩き起こし私はラジオ体操に参加した。
「誰? 親戚の子?」
「うん、従兄弟の和哉くん」
近所の幼馴染みたちに和哉くんを紹介した。これからこの町に住む和哉くん。みんなと仲良くなってもらいたかった。でも肝心の和哉くんは眠たそうに欠伸をしていた。
ラジオ体操から帰ったら朝ごはんができていた。お母さんは私が小さい頃使っていたお茶碗にご飯を盛り和哉くんの前に置いた。
「それ、私のお茶碗だよ」
「聖子はもう使ってないじゃない」
「でも私のだよ!」
「僕、ご飯いらない」
「和哉くん……あとでお茶碗買いに行こうね。だから朝ごはんだけ我慢して食べてね」
お母さんは困ったようにいった。叔母ちゃんはお客さん用のお茶碗で食べていた。和哉くんは味噌汁の中にご飯を入れて食べた。
「ごめんなさいね。聖子はひとりっ子だからわがままで」
お母さんは叔母ちゃんに謝った。カチンときたが聞いてないふりをしてご飯を食べた。ここで怒ったらわがままだと思われてしまう。私はわがままなんかじゃない。あのお茶碗は私の大好きな少女戦士の絵が描いてある。和哉くんだって女の子の絵の描いてあるお茶碗よりヒーローの描いてあるお茶碗の方がいいに決まってる。大人は分かってない。
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