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「まあまあ。でもまた次があるって」 「そうそう。早紀ちゃんにはもっと、猫かぶらんでもええような、気の許せる身近な人のほうがええんちゃうか?」  身近、というキーワードが出てきたとき、ちょうど厨房から暁生が現れた。 「そうや、アッキーはどうや。こいつやったら早紀ちゃんのことなんでも知ってるで」 「ほんまや、灯台下暗しや。案外ぴったり合うかもしれんぞ。姉さん女房はええでー。しっかりしてて頼りになるから」  年上の妻を持つ町医者に尻をはたかれた暁生は、状況をつかめない様子で周囲を見回す。 「なになに、いったいなんの話?」 「いやな、早紀ちゃんの結婚相手にアッキーはどうか、って今みんなで言うててん」 「ええーっ」  驚く暁生を見つめながら、優はこっそり下唇を噛んだ。  結婚というリアルな話が出てきて、店内は異常に盛り上がっている。  しょっちゅう繰りだされる暁生と自分の話は笑いのネタにしかならないのに、女性である早紀が絡むと途端に話は現実味を帯びだした。  男同士でほんまに付き合えだとかお似合いだとか、今までさんざんいじられ続けてきたが、そんなのはたわいない冗談でしかなかったのだと、わかりきっていたことを優は再確認した。
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