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 厨房にいる暁生の両親にごちそうさまと声をかけ、優は瀬戸一の店内から外に出た。  十一月も半ばを過ぎ、日増しに気温は低下している。  パーカーの袖の中に指先まで隠し、優ははためく暖簾の下でブルッと体を震わせた。  今日の昼は、めずらしく早紀が人と食事の約束をしているというので、優はひとりでうどん屋を訪れていた。  店内にはこちらもめずらしく暁生の姿がなく、優はおいしいうどんを食べたあとなのに、なんだか胸のあたりが満たされてない奇妙な感覚を味わっていた。 「どこ行ったんやろ……」  暁生の母はすぐに帰ってくると言っていたが、いつもの時間にいつもいる男がいないと気になって仕方がない。  優はジーパンの尻ポケットからスマホを取りだし、着信をやメッセージの有無を確認してみたが暁生からの連絡はない。  代わりに菱川からの着信履歴がいくつか並んでいた。  ファミリーレストランで相談を受けてから二週間が経つ。  その間に菱川から四度、電話がかかってきた。  昨夜も弱音を吐く菱川に少しでも元気になってもらおうと、優は布団の中で根気よく勇気づけていた。
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