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怖くて、恥ずかしくて、気持ちいい。
快感に侵された自分の体が、浮き上がってどこかに飛んでいってしまいそうだったから、優は暁生のシャツの胸元にしがみついた。
「ふ…………」
胸の中にぞわっと冷えた風が吹き抜ける。
それは経験したことのない、恐ろしいほどの快感だった。
いつも笑顔の爽やかな暁生が、自分に欲情してるのがたまらない。
音を立てて唇が離れ、優は目の前にある濡れた唇を見ながら、深く長いため息を吐いた。
快楽の余韻に浸ったまま、優はふと目の前のふんわりやわらかな質感の髪を撫でてみた。
頭を撫でられることはしょっちゅうだったが、逆は今日が初めてだ。
「どないしたん? 優」
びっくりした表情の暁生をぼんやり見つめながら、優は笑った。
「おまえにさわられるたびに拒絶して見せてたけど、これからはもう我慢せんと俺から触れてもええんやなって思って」
「うん、えっ、ええよ」
優の言葉がよほど嬉しかったのか、にやけた顔を隠すように目をそらした暁生の髪を、優はいつまでも優しく撫で続けた。
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