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「嘘ばっかりついてると、オオカミ少年になってまうぞ」 「嘘ちゃうのに。おまえはいつになったらぼくの愛が真実やとわかってくれるんかなぁ」 「口縫われたくなかったら、もうしゃべんな」 「おまえは、いくつ毒吐いてもかわええなぁ」  優の脅しの忠告をまったく意に介さず、暁生はのん気に椀の中身を飲み干した。  噛み合わない会話と、ぬかに釘。  暁生はいつもひょうひょうと、嘘かまことかわからぬことを口にする。  だけどそんな暁生のアプローチは、二人きりの空間にいるときだけ、ほんの少し本物っぽくなる。  みんながいる前では『ハニー』と茶化しているのが、二人のときは『おまえ』になる。  いつもどおり微笑む目の奥に、微かな熱がこもる。  そんな暁生の微妙な変化に気づいたとき、優は死ぬほど緊張した。
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