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夏樹が呆れて
「おいおい、お前の女装は、鈴音の護衛のためだっただろうが」
と言うと、
「その割には、夏兄がしてくれたメイク、めちゃくちゃ気合いが入っていたよね。あいつ、ボクの美貌に鼻の下のばしっぱなしだったよ」
冬依は自慢げに胸を張った。
「げー、トーイの女装なんて気持ちワリイだけだったじゃーか」
秋哉がおおげさに舌を出してみせれば、
「秋兄の女装はそれこそバケモノだったじゃないか。だからボクがやることになったんでょ」
冬依は元気に言い返す。
「バケモノってなんだよ、あぁ!?」
ふたりがまたまたケンカをしそうになり、それを春一が「まあまあ」と宥めに入る。
落ち着かせるために、
「そういえば冬依、部屋番号を聞き出したのは、すごくいい判断だったぞ。お陰で先に部屋に乗り込むことが出来た」
と、冬依の頭を撫でた。
当初の作戦では、春一は鈴音たちの後から付いていって、部屋に連れ込まれる直前に割り込んでくる予定だった。
そのために、わざと男と親しげに振る舞い、鈴音たちは逃げないものだと安心させた。
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