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幸い浅黄には、冬依の声は聞こえなかったようで、戸惑いを隠せない様子でうつむきながら、
「そう、だったの」
と恥ずかしそうにうつむいた。
どうやら無事に、誤解は解けたらしい。
そこで秋哉がズイッと進み出た。
「それで、コレなんだけどさ」
浅黄に渡されたクリスマスプレゼントの箱を差し出す。
「榊原に渡すんだろう。間違えたのかなって」
浅黄は真っ赤になって、パッとその箱を奪い取った。
「そうよ、間違えたのよ」
一同、そんなわけはないことはわかっている。
もっとうまく言えばいいのにと、秋哉の不器用さにため息が出た。
と、榊原が、
「うれしいよ」
と微笑みながら浅黄の肩を抱き寄せた。
「俺も浅黄へのプレゼントを用意してあるんだ」
「え、ホント!?」
さっきまでオロオロしていた様子がウソのようなスマートさだ。
浅黄も頬をそめて顔を輝かせている。
「俺が浅黄にウソなんかつくかよ。渡したいから俺んチに行こう」
榊原はこちらに背を向けると、さっさと歩き出した。
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