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もどかしい思いで家の鍵をあけて靴を脱いだが、家の中は驚くほどしんと静まり返っていた。
下から見上げたマンションの部屋は、まだ電気がついていたから、もしかしたらと期待してきたのだが……。
やっぱり、パーティー自体は、もう終わってしまったのだろう。
残念だが、こればかりは仕方がない。
「……ただいま」
小声で言いながら、そっとリビングに続くドアを開けた。
そして心底驚いた。
リビングの床で、ひとつの毛布にくるまって、鈴音と夏樹が寝ていたのだ。
「ーーなっ!」
体からすうっと熱が引いていき、でもすぐに、カッと頭に血がのぼった。
わなわなと怒りに体が震えてくる。
ふたりは一体なにをしているのだ。
何だってこんな状況になっている。
春一の拳が固く握られた。
心地のいい暖かさに身を包まれて、夏樹の意識はふと覚醒した。
目を閉じたままで、自身の体を確認してみる。
体のダルさはない。
頭もすっきりしている。
どうやらすっかり熱は下がってくれたらしい。
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