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夕べはずいぶん苦しい思いをした。
もしかしたら、流行っている感染症かインフルエンザではないかと、心底心配だった。
でもどうやら杞憂だったことに、ほっと胸をなで下ろした。
熱が下がって調子も良くなりつつあるならこれ幸いと、二度寝を決め込むつもりで、手の届くところにあった、温かくて心地のいい物体を腕で引き寄せた。
これは何だろう。
もしかしたら、鈴音が湯たんぽでも用意してくれたのかと思ったのだが、抱き寄せてみてギョッとした。
えらく、ゴツゴツしている。
それにデカい。
『これは何だ!』
と目をこじ開ければ、
「……ここで何やってんだよ春」
春一だった。
夏樹は春一と一緒に寝ていたのだ。
びっくりしていると、春一ももぞもぞと目を開ける。
「なんだ、起きたのか夏樹」
なんでもないことのように言って、額に手を当ててきた。
そして、
「お、熱は下がったな。よかった」
と息を吐く。
「何やってんだよ春」
もう一度、同じことを聞いてしまう。
春一はふと微笑んだ。
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