53人が本棚に入れています
本棚に追加
ちなみに、秋哉はといえば、
「……」
すうすうと健やかな寝息をたてている。
蹴っ飛ばしても起きる様子はない。
ひと晩ぐらい床で寝ても、きっと平気そうだから、もうこのまま放っておこう。
冬依ひとりを部屋に押し込んで、それから自室に戻れば、夏樹のベッドはきちんとベッドメイキングがされていた。
鈴音は寝てしまったのだから、やってくれたのは、おそらく春一だろう。
リビングで鈴音と寝ている弟を目撃して激怒してたクセに、相変わらず世話好きなお兄ちゃんだ。
夏樹が整えられたベッドにもぐり込めば、昔、小さい頃に一緒に寝た春一の体温を思い出す。
あの頃、一番安心出来る場所が、春一の隣だった。
今も何も変わっていない。
だけど、
「やっぱ鈴音の方が、抱き心地良いんだろうなあ」
なんて、不埒な思いが湧くのはどうしようもない。
まあ、今日はクリスマスだ。
目を覚ました瞬間に、確かに感じた大きな幸福感は、間違いのないクリスマスプレゼントだった。
そんなことを考えながら、夏樹は冷えた布団にクシュンとひとつくしゃみをした。
ーー了ーー
最初のコメントを投稿しよう!