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「りょーかい。鈴音が元気ならいいの。秋哉くんや冬依くんとも会えたしね」
透子は微笑んで言った。
このふたりだから、こんなに早く合流出来たといっても過言ではない。
すると冬依が、
「じゃあ行こうか。ウチへ帰っても、きっとまだあついだろうけどね」
この場合の「あつい」も、やはり『熱い』だろう。
チャイムをならすと、ドアを開けてくれたのは、赤い髪のイケメンだった。
来生家の次男の夏樹である。
「やあ、いらっしゃい透子ちゃん」
見上げるほどの長身で、白いシャツを着ているが、ボタンなど無いかのように、羽織っているだけである。
前が開けっ放しなので、ほとんど半裸にしか見えない。
往来でこれをやられたら通報ものだが、彼の自宅である限り、こっちは文句も言えない。
「どーも」
これが客を迎える態度かよと苦々しく思うが、苦情を言う筋合いでは無いので、目をそらして答えると、
「俺に逢いにきてくれたの? うれしいな」
夏樹は腰をかがめて、透子と強引に目を合わせてきた。
艶めく濡れた瞳が、ひどく色っぽい。
ただしチャラい。
夏樹は相変わらず、その言動のすべてが、基本的にチャラい。
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