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アンノウンの生贄
固く長い木の棒に体を括り付けられて火にかけられる。足下で燃えさかる炎が私の身を焦がす。
どうしてこんなことになったのか。理由は簡単だ。この村唯一の神父でありながら、この村を襲った悪魔を見つけだして祓うことができなかったからだ。
怒声をあげる村人達の中から泣き声が聞こえる。そちらの方を見ると、いつも私を支えてくれていたシスターにしがみついている、まだ幼い私の弟が泣きじゃくっていた。
弟は泣きながらなにかを言っているけれども、村人の声に紛れてわからない。
黒い煙にまかれて息苦しくなる。
息苦しさと体を焼く熱で意識を失いかけたその時、とても澄んだきれいな声でこう聞こえてきた。
「一度だけやり直しをさせてやろう」
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